最近、大手ハウスメーカーさんでは
30年の長期保証制度とか、
60年延長保証制度とか書かれている
ホームページを見かけます。
買う側からすると保証は短いより
長い方が良いに決まっているのですが、
『長期保証』=『高品質』=『高くて良い』
という図式は正確ではないと思います。
もちろんハウスメーカーさんには良い所が
たくさんあります。
コストが高いから『売り方』を工夫する
必要もある事は承知しています。
でも、保証が長い=高く手当たり前の
感覚はどうかな~という気もします。
また、同じ30年保証でも、各社によって
中身が全く違いますので、長期保証を
お望みの方はその保証にどういう特徴
があるのかを見極める必要があります。
1.住宅の保証に関する基礎知識
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2000年4月に施行された
「住宅の品質確保の促進等に関する
法律(通称:品確法)」により、
日本全国どの住宅会社で
住宅を購入しても、住宅に『10年保証』
がつくようになっています。
これはすべての建築会社に
法律で義務化されている為です。
また、以前、マンションの耐震偽装した
建築会社が倒産し、購入された方が
泣き寝入りをしないといけなかった事件
から、2009年10月以降に引き渡し
される住宅については、
「瑕疵担保責任を履行するため」
という名目で、施工会社に「資産確保」
が義務付けられています。
この資産確保は、法務局などに保証金を
供託しておくという方法や、
保険に加入する方法があり、倒産による
施主のリスクを回避するための法律と
なっております。
2.瑕疵担保責任の範囲
![](https://myhome-note.com/wp-content/uploads/2021/06/1927019.jpg)
10年間の瑕疵担保責任の範囲ですが、
主に住宅の主要構造部分と
雨漏りを防止する部分に対して
の保証になります。
具体的には基礎や土台、柱、梁、
筋交いなどの骨組みと屋根や
外壁材を対象としています。
雨漏りについても屋根や外壁からの
雨漏りについて10年保証されています。
私はこの業界に20年以上いますが、
よっぽどの欠陥住宅でない限り、
10年以内に雨漏りをしたり、
主要構造が壊れたりという事は
考えにくいです。ちなみに私は
ほとんど経験した事がありません。
3.長期保証のメリット
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長期保証のメリットは会社によります。
色々なハウスメーカーさんのHPで調べた
限りですが、
お施主様に『有償メンテンナンス』を
しなくても20年、30年保証するという
ハウスメーカーさんもありましたので、
そういう会社さんでしたらお施主さん
にもメリットがあると思います。
自動車でもそうですが、オイル交換や
タイヤやバッテリー等の消耗品は必ず
ありますし、住宅も例外ではありません。
ですが、家電の延長保証のように
延長保証の費用を払ってでも安心を
買いたいという方には長期の保証は
大きなメリットとなると思います。
内容はしっかり比較、検討する必要が
ありますが、安心を求める方には
おススメなのかもしれません。
4.長期保証のデメリット
![](https://myhome-note.com/wp-content/uploads/2021/06/2170122_s.jpg)
デメリットというか、お客様というより
住宅会社のメリットになるのかも
しれませんが、ご紹介しますね。
①長期保証=高くて当たり前
②有償メンテナンスによるリフォーム工事受注
③お客様と必然的に長いお付き合いができる
の3点です。
30年や60年の長期保証を宣伝すると
イコール「高性能な住宅なんだ!」
「それなら高くて当たり前」と
思ってくれるお客様がおられますので、
ハウスメーカーにとってはおいしい
宣伝トークになります。
また、10年目の有償メンテナンスで
50万円とか、20年目の有償
メンテンナンスで100万円とか、
お客様に費用を頂いてリフォーム受注に
つながるという面白い
仕組みが出来ています。
また、住宅会社からすると
一生に一度の買い物にしたくないので、
いかにしてご紹介を頂けるか、
どうやって、
お子さんにも建ててもらえるか
長期的視点で考えています。
決して悪い事ではありませんが、
30年、60年の長期保証にはそういう
思惑があるということを建て主さんも
考えておいて頂きたいです。
5.まとめ
![](https://myhome-note.com/wp-content/uploads/2021/06/129767.jpg)
最近特に流行っている長期保証。
長期保証自体が決して悪いという事
ではなく、その中身が重要という事です。
10年保証の会社に対して、A社営業マンが
「B社は保証が10年らしいですよ、
10年といえば法律で決められた最低限の
保証ですから、品質自体が少し心配
ですね。当社は60年保証ですので、
安心してお住まい頂けます。
〇〇様は今30歳ですので、90歳まで
保証は続きます、B社より多少
高くなりますが、その分60年保証という
品質がついてきますので、当社の方が
〇〇様にとってメリットがあると思います」
と話されたらどうでしょう?
しかも金額もあまり変わらなかったら?
ほとんどの人はA社を選ぶと思います。
保証という事ももちろん会社選びの
選択項目の一つとして考えてよいです。
でも、
長期保証=安心。
長期保証=高くて当たり前。
長期保証=自分の利益。
と単純に考えないようにしましょう。
内容をしっかり確認してその保証が
「顧客のため」なのか
「住宅会社側の顧客囲い込み」
が目的なのかを確認してくださいね!!